1年で1番大切な祭りシーズン
秋、10月に入ると稲刈りのシーズンがやってくる。ここ、愛媛県では五穀豊穣に感謝して沢山の祭りが行われる。
愛媛に住んでみて驚いたのは、とても「祭り」を大切にしていること。
「盆、正月には帰って来なくていいが、祭りには帰ってこい」そう言われると聞いた。
普段はおとなしい松山の人がこのときだけは血気盛んになるというほど熱が入っている。
なんと・・・!!お祭りの平日は、小中学校が休日になるほどだ。
愛媛と農業・漁業
愛媛は、農業・漁業の盛んな地域である。
みかんの産地で有名であり、愛媛県で出来ない野菜はないのでは?と思うほど、四季折々県内産の野菜が手軽に買うことが出来る。
新米は、8月頃から出まわり始め、長い間楽しむことができることも嬉しい。
西や東の地域に行くと漁業従事者も多く、養殖も盛んである。
特に真鯛の養殖は有名で安価で年間通し安定的な供給がある。「鯛めし」は愛媛の名物でもある。
こういった自然の恵みと感謝というものに溢れた生活がここ愛媛にはあるように思うのだ。
各地で順番に開催されるお祭り
10月に入ると、愛媛の各地で次々とお祭りが開催される。
御神輿(おみこし)をぶつけ合い、競う「鉢合わせ」が見所。
「ああ、悪いとこに鉢合わせてしまったな・・・」というこのまさに「鉢合わせ(はちあわせ)」だ。神輿同士が鉢合わせてしまったからには、道を譲ることは出来ない。意地をかけたケンカみこしが始まるのだ。
第1週目 松山
道後温泉駅前付近、三津の厳島神社などが有名だ。
→神輿(みこし)を担ぎ鉢合わせを行う。
第2週目 北条、今治
北条では、海側の鹿島神社と山側の国津比古命神社でそれぞれ祭りが行われる。
→山側の神社での石段の上から神輿を落とし御神体が出てくるまで何度も落とす迫力ある神事は「日本三大荒神輿」の1つにも数えられている。
今治の菊間、加茂神社で行われる「お供馬の走り込み」が有名。
→愛媛県無形民俗文化財に指定されている。300mの参道を一気に馬が駆け抜ける。
第3週目 西条
4つの神社(伊曽乃、石岡、飯積、嘉母神社)の祭りを総称して西条祭りという。「だんじり(屋台)」を奉納する。その台数約150台。川を渡るみこしを神社へ返すまいとだんじりが邪魔をする。だんじりが加茂川に一斉に集まる様は圧巻。
第4週目 新居浜
荒々しいケンカ神輿で有名な新居浜の太鼓祭り。各地域の「太鼓台」が一席に集まる山根グランド統一寄の鉢合わせがみどころ。
愛媛の秋祭りは3日間
祭りは、だいたいメインの日を挟んで3日間に及ぶ(地域による)。
その3日のうち平日にかかる日は公の機関(ゴミ収集など)やお店、小中学校が休みになることには驚いた。
この秋祭りは地方祭(ちほうさい)と呼ばれている。「地方祭でお休みだよ」といった使われ方をしている。
10月はずっとどこかしらで祭りが開かれているなんて・・・!!お祭り過疎地で育った私から見ると驚く程の地域をあげたお祭り熱を感じるのだ。
お祭りの内容
愛媛の秋祭りは、地域ごとに保管している「みこし」、もしくは「だんじり」、「太鼓台」を人力で持ち上げ、担ぎ、神社へ運び、神社から出し、町を練り歩く。
その中で各地方ごとに担いでいるものが違ったり、地域ごとのやり方があったりといった感じである。愛媛の地元住民は、それぞれ地元神社の倉庫に格納されている神輿を持っている。
祭りを見物してみようと色々調べたところ、1つの壁にぶつかる。
3日間という長いお祭りの中、どこが見所なのかがよく分からなかったことだ。
それに、夜や早朝に開催されたりするスケジュールも多く、また見物のための駐車場も殆ど確保されないことから、地元に住んでないとお祭りを全て見物するのは極めて困難。むしろ、全てを見物できる人は地元の祭りに関わっている人だろう。
基本的には、
①1日目:神輿(みこし)を出す→「宮出し」
②2日目:鉢合わせて、競い合う→「かきくらべ」
③3日目:神輿(みこし)が神社へ帰る→「宮入り」
以上のスケジュールとなる。
まさに地域のためのお祭り。昔ながらの日本人の風俗がそのまま残っているのだろう、と感じるのである。
風俗においても秘境すぎる四国だ。
愛媛の秋祭りを理解するための単語
みこし | お神輿。神様が地域内をまわるために乗っているもの。神輿の中に御神体が入っている。 |
宮出し | みこしを神社から出すこと |
宮入り | みこしが神社へ帰っていくこと |
だんじり | お城のように何層も重ねて積み上げたり提灯を飾ったりする美しい屋台 |
太鼓台 | 太鼓がのっているお神輿 |
かく | 担ぐ(かつぐ) |
かき夫(ふ) | みこしを担ぐ人 |
かき棒(ぼう) | みこしを担ぐときに肩にのせる棒 |
かきくらべ | 神輿やだんじり等を担ぎ上下させたり技を競い合ったり、綺麗にかくこと |
はちあわせ | みこし同士をぶつけ合うこと |
西条の祭りにいってみた
愛媛のお祭りの情報は、ホームページなどで詳細な情報がリアルタイムで得られるとは限らないため、地元のテレビや雑誌ラジオ、公民館などの張り紙などが頼りだ。
急遽、パートナーと今日ではなかったかな?とあたりをつけて西条のお祭りに夜のドライブがてら行ってみた。
本番前夜の西条駅前の様子だ。少し到着が遅かったのか、思ったほど混んでおらず人はまばらであった。町ではだんじりを引いて大きなかけ声をかけて歩く人たち。駐車場は簡単に見つからない。パートナーに運転してもらって、私だけ少しだけ道路でだんじりを見物したのであった。
昨今すたれている地域の絆も祭りを通じて色濃く残っている(ちなみにみこしやだんじりは地域の人の寄付で作られる)。西条市は、
愛媛に住んでいるとは言え近所以外の祭りの見物は準備が必要であるようだ(笑)。いきあたりばったりでは見物は困難かも。
トリップ四国、日常の発見の旅。いつか道後温泉に泊まってじっくり祭りを見物しようと思っているところである(笑)。
(2022.10月)